「“女船井”と呼ばれる経営者」の幸せになる生き方

このページは、船井本社グループのイリアール株式会社の代表取締役を２００６年から務める（※2022年退任）乗附なほみによるコラムページです。
舩井幸雄が経営術を実践的に教え、“女舩井”と呼んだ唯一の女性経営者です。
経営者として、女性として、舩井幸雄の教えを活かした生活をお伝えしていきます。

取締役を務めています、プラチナ万年筆が、今年２月に１００周年を迎え、
世界中から招待客をお迎えし、東京・上野の寛永寺にて、２日間に亘り開催した
「１００周年記念イベント」のプロデュースと、式典の司会をいたしました。

企画は３年前にスタート。
日本のブランドとして、世界に向けて発信したい、という思いから、
ホテルやイベント会場ではなく、創業者と二代目社長が眠る寛永寺で
行わせていただきたいと考え、お願いをしてきました。

寛永寺は、天台宗の別格大本山で、１６２５年に
徳川幕府の安泰と万民の平安を祈願するため
江戸城の鬼門（東北）にあたる上野の台地に建立されました。
徳川歴代将軍（１５人）のうち、家綱、綱吉、吉宗、家治、家斉、家定（６人）が
眠る徳川家の菩提寺であり、皇族（皇子または天皇の猶子）から
歴代山主をお迎えしてきた、由緒あるお寺です。

今も３万坪の敷地がありますが、かつては１０倍の
約３０万５千坪に３６の子院があり（現在は１９の子院）、
その他に、大名並みの約１２０００石の寺領を有していたそうです。
現在の東京国立博物館のあたりに、本堂があって
美術館・動物園を含む上野恩賜公園全体が、敷地でした。

この由緒ある寛永寺を、企業として初めてお借りして式典と展示会を行い、
ゲストの方々には特別に、通常、非公開の徳川慶喜が蟄居（ちっきょ）していた
「葵の間」をご見学いただきました。
寛永寺様には、深く感謝申し上げたいと思います。

根本中堂では、寛永寺のアイコンともなっている
プラチナ万年筆創業者の中田家が寄贈した水引の右側（脇間右）に１００周年記念万年筆を展示。

入口からその万年筆に向かう導線に、
プラチナ万年筆の蒔絵の柄と不忍池をリンクさせたイメージのインタラクティブ映像を体験していただきました。
畳に投影された鯉が泳ぐ池の映像の上を歩くと、鯉が逃げて水紋ができ、水音も聞こえる、というインタラクティブな演出です。

書院では、写経ができるスペースと
門外不出であった歴代のプラチナ万年筆の名品の展示室
そして、日本のデジタルアートを体験できる「鏡の間」を創り上げました。

「鏡の間」は、壁四面と天井に鏡を設置し、
レーザー光線とスモークで、宇宙のような不思議な空間を作り
上野の桜と、初期の万年筆映像、１００周年ロゴなどを全鏡面に投影。
鏡の反射やＢＧＭによって、没入感を楽しめる演出をしました。

式典は、根本中堂の前、境内にて、
寛永寺の長臈（ちょうろう）　浦井正明大僧正にご挨拶をいただき
私の同級生のご縁から、観世喜正師、観世喜之師をはじめ
重要無形文化財保持者の方々による観世流の能を奉納しました。
演目は、春、手紙を書く、というテーマから「熊野（ゆや）」を選んでいただきました。
このイベントを通じ、国内外のゲストに、
「日本のプラチナ万年筆」を印象付けることができていれば嬉しいです。

フランスやヨーロッパのハイブランドに比べると
アピール方法が上手いとは言えない
日本発のブランド。
何度か書いていますが、２１世紀になってから、
日本の発展スピードは世界から取り残されて
いるように見えます。
オリンピックで注目されるこの１、２年の間に、
世界に向けたブランディングが必要ではないか
と思っています。