「“女船井”と呼ばれる経営者」の幸せになる生き方

このページは、船井本社グループのイリアール株式会社の代表取締役を２００６年から務める（※2022年退任）乗附なほみによるコラムページです。
舩井幸雄が経営術を実践的に教え、“女舩井”と呼んだ唯一の女性経営者です。
経営者として、女性として、舩井幸雄の教えを活かした生活をお伝えしていきます。

明けましておめでとうございます。
今年は、庚子（かのえ・ね）。
干支は最初の子年に戻り、十干では７番目の庚です。
子年は、干支ではスタートで、種の中に命が始まるという意味があり
庚という文字の元は、植物の生長が止まり新たな形に変化が生まれる
という意味があります。

今年は大きく変わる年だろうと思います。
日本の社会自体が変わる、といってもいいかもしれません。

これまでの日本社会は、戦後に作られた制度で動いてきましたが
昭和、平成、令和と時が流れ、制度疲労を起こしています。
仕事を動かす中心となる世代も入れ替わりました。
特に企業では、この２〜３年で、終身雇用、定年制、年功序列が崩れ
就職・転職活動も変化しています。
今年はさらに「働き方改革」が進み、オリンピックの影響もあって
欧州並みに労働時間が減る傾向ですし、４月からは、
時間外労働の上限規制が、中小企業でも適用され
我々人材派遣業界では、「派遣労働者の同一労働同一賃金」が施行されます。

余暇が増える分、
趣味や家族との時間に使えて嬉しい人
定年制が無くなって長く働ける人
副業をスタートして頑張る人
給与が上がる派遣労働者は、ハッピーですが
年功序列・終身雇用が無くなって生涯収入が減る人、
残業手当がなくなり、実質手取りが減る人も。

一方、企業側は、１人当たりの労働時間減を補うために
従業員を増やしたい所ですが、人口減少で確保が一層難しくなるため
労働単価の上昇や、事業の縮小を余儀なくされ、経営が厳しくなります。
大きな流れとしては機械やAIへの代替が進んでいきますが、
コンビニやコールセンターの２４時間対応や、宅配便の再配達などの
サービスは見直され、便利さという点では、平成がピークで、
今後は低下する傾向だと思います。

TV番組の制作現場では、社員の労働時間が限定されているので
従来のように早朝〜夜中までの撮影では外注スタッフ（個人事業主）頼り。
時間のかかるドラマは制作費用が増えるため質の高い番組は減るでしょう。
飲食業界では、スタッフ確保ができず、閉店するお店が増えそうです。
現に、代官山近辺では、家賃高騰・求人に反応が無いなどから
将来に不安を持っているオーナーも多くいます。
少し前まで、独立して店を持つのが夢という人が多くいましたが
現実を知ると、店を持ちたいと思う人が、そのうち居なくなるのでは
と心配になるほどです。
企業の体力がなくなると、社会保険・年金を含めた従業員として
守られる権利がいつまで維持できるか、も心配になります。

人間関係も変わります。
たとえば、上司と部下の関係では
パワハラ・モラハラ・セクハラが問題視されるようになったので、
上下という考え方が、なくなっていくでしょう。
（もちろんその方がいいですね）
役職が付くと偉くなったように勘違いする人もいますが、単なる役割ですから
いっそ上司・部下という言い方も、やめればいいと思うのです。
アメとムチ、という考え方もなくなるといいと思います。
究極は、全員が個人事業主ということになるかもしれません。

舩井幸雄会長は、全ての人に平等に接しておられました。
社員も、中学生も、大会社の社長も、みな同じように。
年齢、職業、地位、世間の評価でなく、よく相手をご覧になって
お付き合いした上で、ご自身の基準で評価されていました。
私もそのようにありたいと思っています。

こうした社会の変化の中で、どのように仕事と向き合い
どのように毎日を過ごすか。
１人１人の生き方・時間の使い方が問われますね。

庚子は、新たな芽吹きと繁栄の始まりの年と言われ、
大きなチャンスがある年と言われます。
いい年に、いたしましょう。