「“女船井”と呼ばれる経営者」の幸せになる生き方

このページは、船井本社グループのイリアール株式会社の代表取締役を２００６年から務める（※2022年退任）乗附なほみによるコラムページです。
舩井幸雄が経営術を実践的に教え、“女舩井”と呼んだ唯一の女性経営者です。
経営者として、女性として、舩井幸雄の教えを活かした生活をお伝えしていきます。

率直に言って、幸せになる方法とは、
「あまり強いこだわりを持たないこと」のように思います。

こうでなくちゃいけない、こうあるべき、この部分にこだわりたい、ここは譲れない、
と思うと、それ以外のことでは満足できず、幸せを感じられないからです。
３つの事例をご紹介しましょう。

今年、弊社（イリアール）は７年振りに引っ越しをしました。
隣のビルに移っただけですが、
机やロッカーの中のものを　一旦、全てダンボール詰めしたので、
かなりの「断捨離」ができました。
日頃、忙しさにかまけて、全く整理をしていなかったので、
懐かしい資料がたくさん出てきました。

何故こんなものを保存していたんだろう？
ああ、５年前は、こういう情報を集めていたんだな〜
そういえば、こんなことにこだわっていたこともあったっけ。

その時は、とても大切でこだわっていたことも、
時間が経つと、こんなふうに感じるのだと思いました。

２つめ。ある取引先のご担当者なのですが……
とにかく細かい所にこだわる方で、
書類を提出すると、
「ここと、ここを直してください」と、必ず赤が入ります。
もう少し、この字を大きく。この言葉は省いて、など、
内容には影響がない部分なので、どっちでもいいんじゃないかな？
と思いながらも、お客様のご指示ですので、その度に修正しますが、
提出する度に直しが入り、
時々、前回ご自身で入れた赤字に、また赤字を入れることも。
あまり細かいことにこだわると、お互いの時間や労力がもったいない。
そして、イライラするのは、人生の時間のムダではないかしら？

３つめは、舩井会長のことです。
偉業を成した人は、強いこだわりがあるもの、と思っておりましたので、
会長も、衣食住や習慣などに、さまざまなこだわりをお持ちなのでは？　と思って
いろいろ質問したことがあるのですが、

「なーんにも、こだわりはないよ。
好きなものはあるけれど、これでなくちゃいけない、ということはない。
いろいろな考えがあるし、いろんな人がいる。
衣食住なんかは、仕事一筋だったし、出張ばかり行っていたから、
どこにでも泊まれるし、こだわりはないな。
出張の時は、宿泊先で毎晩自分で洗濯したよ。」

えー？　ご自分で洗濯？
とてもお洒落なので、着る物にも、持ち物にも、こだわっていらっしゃるのだろうな？
という想像は、打ち砕かれました。
本物はいいよ、とお薦めするのと、本物でなくちゃダメ、というのは違います。
全てを「包み込み」、です。

そもそも舩井会長は、こうでなくちゃいけない、というような事は全くおっしゃいません。
私がイリアールの社長になった時も、
具体的なご指示や注文は、何もありませんでした。
「自由・自主・自己責任」、ですね。

また、こだわりについてだけでなく、
ご自分の功績や、ご自身のこだわりについて、お話されたことは全くありません。
いつも謙虚で、自慢されたことは全くなく、常に前を見ていらっしゃいます。
どうしても教えていただきたくて、
「会長の経営コンサルタント時代のお話をお伺いしたいです。
たとえば○○百貨店のトップには、どのようなアドバイスをしていらっしゃったのですか？」
と、質問したことがあります。そうしたら、

「過去はオール善。過去のことを語っても仕方がない。
自分のことも含めて過去に興味はないんだよ」
とおっしゃり、今、興味がある他の話題に移られました。

皆様は、どうお感じになりますか？
私は服のデザインをしたり、化粧品を作ったりする職業柄、
「ものづくり」に、こだわりは必要と思っていましたが、
素直で柔軟な心で、細かいことにこだわりすぎないことが大切だと思いました。

忙しい年末年始。　心を平らにして、大局を見失わず、
時間と心身を大切にお過ごしください。